フジサンケイビジネスアイ 難環境

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研究機関・豊田工業大学
難環境作業スマート機械
技術センター

 

 

豊田工業大学では、現在文部科学省「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」に採択された研究プロジェクトが3件進行している。その一つに、2013年度にスタートした「難環境作業スマート機械技術センター」がある。

 
「難環境」とは、(A)高温や有毒ガスのために機械とそれを操作する人間が、作業はおろか、留まることも困難な環境を意味する同時に、(B)その場の状況が把握し難く、情報の不足のために作業困難になる環境を意味する。2011年3月11日に発生したひがしに本大震災を契機に、安心・安全な社会づくりに貢献する工学への期待と関心がかつてないほど高まっており、災害・震災現場での救助・救援作業、大規模公共インフラの点検整備作業および手術支援作業など多くの難環境作業への対応が期待されている。これらの期待に応えるためには、「難環境」という共通の課題に対応する新たな技術を確立する必要がある。

 
そこで、同センターでは、火災や震災に加え溶鉱炉や海底油田などの生産現場、さらには月面や細胞の内部など学術探索の最前線に広く存在する難環境下において、難環境対応の素材や素子をナノ技術を礎に開発し、(b)難環境の認識と推定に有効な情報技術を開発することで、(c)難環境に対する機械技術を確立し、社会の安全・安心の確保や学術の発展に寄与する難環境作業スマート機械の開発を目的としている。この目的を達成するために、同大にある16の研究室と豊田工業大学シカゴ校が連携し、難環境下でも耐えうる素材の開発からセンサ類、自律知能ロボットなどの研究開発を推し進め、難環境をはじめとするあらゆる環境下においても自律探査・加工作業が可能なロボットと、作業指示や情報管理を行う支援システムをネットワークでつなぐことによる「難環境作業スマート機械技術」の確立を目指している。

 

【具体的な研究課題】
1. 環境を認識・推定可能な技術の開発(センサフュージョン、画像処理と診断、統計学的学習理論)
2. 環境でも作業できる機械駆動技術の開発(真空中砥粒加工、トライポロジー、最適構造設計、自律知能機械)
3. 難環境素子・素材に用いるナノ材料技術の開発(CNT、電子顕微鏡、高積集光センサ、圧力センサ、表面処理、潤滑剤)
※()は、関連する研究要素

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