日刊工・中経 難環境

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知能ロボ開発プロ始動
科学技術・大学
豊田工大 難環境下で高度作業
5年後めど 災害救助型など完成

 
【名古屋】豊田工業大学は震災現場や溶鉱炉、宇宙など難環境下での高度作業を可能にする知能ロボットの開発プロジェクトをスタートさせた。成清辰生教授の研究室を中心に、同大の15研究室が連携し、素材からセンサー類、自律知能ロボットなどの研究成果を結集する。5年後をめどに「災害救助ロボット」と「大規模インフラ探査ロボット」の完成を目指す。研究の波及効果として医療、宇宙分野などへの応用が期待される。

 

 

ロボットテクノロジー
難環境とは、高温や有毒ガスなど物理的など要因で人間がとどまって作業することができない状況や、月面や細胞内部のように状況把握が難しい環境をいう。同プロジェクトでは、難環境下で自律探査・加工作業を行うロボットと、作業指示や情報管理を行う支援システムをネットワークでつなぐ「難環境作業スマート機械技術」の確立を目指す。
具体的には①難環境を把握する情報技術の開発②難環境でも作業できるロボット駆動技術の開発③難環境に対応する素子・素材に使うナノ材料技術の開発—を柱に研究に取り組む。同プロジェクトは文部科学省の「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」に採択された。事業計画額は約5億円。
同プロジェクトで開発するロボットは、実用化段階でトヨタ自動車と協力する可能性もある。またセンシング技術を自動車の安全技術などに応用することも可能としている。さらに素材開発やロボット技術など個別研究の成果を宇宙での加工法やかいてい油田探査、知的ロボットによる新しい生産システムの構築など幅広い分野へ応用していく考えだ。

 

 

豊田工大 災害救助ロボ開発へ
難環境で自律作業
PT発足 17年度めど実用化
豊田工業大学は、火災現場などで状況を把握し、簡単な作業を行うロボット技術の開発に乗り出す。学内の20人の研究者で創るプロジェクトチーム(PT)を発足した。豊田工大が強みとするナノ材料技術やセンサー技術を融合し、2017年度をめどに「災害救助ロボット」などの実用化をめざす。(今井潤)
同大学が立ち上げたPTの名称は「難環境作業スマート機械技術研究センター」。火災現場、月面探査など生身の人間が作業することが難しい環境下でも自律的に行動し、作業を行えるロボットを開発する。チームのメンバーはセンサー技術、機械駆動技術、ナノ材料技術などを研究する20人の研究者。過酷な環境にも耐えられる素材などの開発に着手した。
豊田工大は他の大学・研究機関などとも連携し、5年後をめどに橋やトンネルなどの大規模インフラの耐震性を測定するロボットや災害救助ロボットを実用化する、としている。
PTの代表を務める成清辰生教授(制御工学、ロボット工学)は「研究成果は医療や宇宙分野などさまざまな産業に応用できる。トヨタ自動車など民間企業とも連携したい」としている。

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